私が研究するわけではないです・・・
大学院に通う後輩から研究論文の相談が。
彼女はダンスを専攻していますが、スポーツバイオメカニクスの手法を用いた研究をしたいというので、
前々から「いつでも相談にのるよ〜」と伝えていました。
私は筑波大学体育専門学群、大学院時代に、「スポーツバイオメカニクス」(以下、バイメカと表記)という分野の勉強をしていました。
運動物理学の研究です。
彼女はその研究室ではないのですが、
研究の手法として、私の所属していたバイメカ研究室の機材とデータ分析をするというので相談にのっています。
ダンスっていうのはですね、、、
研究するのにすっごく難しいジャンルなんです。
複雑だし
複合的だし
「美しさ」ってなんなん?!
定義付けができん!!
曖昧すぎる!!!
足が高ければ良い、たくさん回れれば良い、
じゃないのがダンス・・・
ということで、私もすごく苦労しました
バイメカ研究の苦労その1
「シンプルに見なくてはならない」
バイメカでは身体の関節などにマーカーをつけ、その点と点を単純に結ぶわけですが、
「それだけで分析をしていいのだろうか・・・」
「いや、ちがうんだよなぁ、、そうじゃないんだけど、、、」
という疑問がふつふつとわいてくるのです。
その点、バレエは決まった形や正しいとするポジションが“定義されている”ために、分析するにはまだやりやすいといわれています(それでも難しかったのですが…!)。
コンテンポラリーダンスともなると、さらに、定義付けや比較基準をどうするかが難しくなります。
なにをもって「◯」なのか「×」なのか。(感覚?バランスの秒数?足の高さ?)
どの瞬間からどの瞬間までを比較するのか。(動きの切れ目がない!)
踊る側の「良い」を「◯」にするか、
見る側の「良い」を「◯」にするか。
どこからが「熟練者」で
どこからが「未熟練者」なのか。
なので、彼女にも「どうする?」「ここはどんな風にみる?」「ここはどう定義付けする?」をしつこく聞きました。
・・・あぁ、思い出します・・・
学群&院生時代、私は大学の研究室に入り浸っていました
「女の子なんだから、、、ちゃんと家に帰りなさい」とたしなめられたり・・・
容量が悪いため、とにかく時間がかかるんです・・
そして先輩に聞きまくる毎日
でも優しくて優秀な人たちに囲まれていたため、たくさんお世話になり、なんとか卒業
・・・みなさんお元気かなぁ・・・
バイメカ研究の苦労その2
論文を書くためには
「目をつぶらなければならないことがたくさんある」
そこを言い出したら実験の目的が変わってしまう、、修正! など。
曖昧にできないし、ダンスを知らない人にも説明しなければならない。
無意識に業界用語を使っている自分に気がつきました。
「そうか、ダンスを知らない人はこんなことでも分からない/伝わらないのか!」と驚愕したものです。
言葉の選び方や語彙力、身体を見るということに対する視点が増えました。
それは私の今の指導にも生きています
また、この時期に得た知識はたくさんあります。
バイメカでの実験では、身体の各部位にマーカーをつけるため、解剖学の知識は必須。
それに研究室にいたころはたくさんの文献を読みました。
学生はそれが仕事ですからね。
大学院時代、私は踊る時間より研究室の椅子に座っている時間の方が何倍も多かったです。(椅子に座って、気づけば12時間とか。)
それらの本や文献は、ドイツ留学の際にほとんどを筑波大学に寄贈しましたが、家にもまだあります。宝物
さて、
今回の彼女が実験して比較したい試技、また研究の目的や分析点を聞き
「地面反力、重心の高さ、膝の角度とかを見ようと思っています」ということなので、
「じゃあ、これらの値をこう出して、こういう比較かな?あとやっぱり動きだから変位を見たほうがいいわけだから、、、、」
「地面反力max時から前後1.0秒間の変位を比べてみるといいかも。たぶんグラフにするとこういう風になって、、」
「で、熟練者を実線で被験者ごとに色分けして、未熟練者を点線にして、こういうグラフをだして、、」
といったことをアドバイスしてきました。彼女にプレゼントしたアドバイスシート)
なんかワクワクしました!
楽しかった〜(笑)
「ありがとうございます!
やるべきことがクリアになりました!」
という言葉をもらえたので、少しは役に立てたかなと。
研究の仕方にはコツがあるので、イメージが出来たら自分でどんどん進めることができるはず。
でもきっと、彼女はこれからが大変だろうから・・・
私は気楽なもんです。
彼女が無事に卒業するまで、付き合おうと思います。
一緒に頑張ろうね〜