水泳部指導の次は陸上部へ!埼玉県にある久喜高校にお邪魔させていただきました。まずは陸上部顧問の益子コーチの報告をご覧ください。

 

夏休み最後の特別コーチは、、、
ダンサーの
西園 美彌さんでした!

西園さんは筑波大学の先輩で、舞台でのダンサーとしても活躍しながら、大学ダンス部の指導や様々な専門外のスポーツチームで身体の動かし方、姿勢の改善、動きの改善の指導をされています。(西園さん、合ってますか?(笑))

帝京大学水泳部を指導されている
浜上 洋平先輩の紹介で今回久喜高校陸上競技部のご指導をお願いしました。

生徒たちの動きがみるみる改善されて行くのを横から見ていて、驚きの連続でした。
直してほしい動きを伝えると、「そんなアプローチあるんだ!」という感じでビックリ。生徒が一瞬で変化を実感できる指導言語のなんと充実していることか。(骨盤を前傾させて胸を張らせたい→脇を締めてみて、など)

悪い動き(美しくない動き)の根本原因を見つけて改善するための方法の提示までのスピード感も半端なかったです。(走りの改善→体幹を使えていない→ブリッジしてみよう→普段使ってない筋肉に生徒がすぐに気づく)

動きの指導だけでなく、生徒たちから言葉を引き出すのもとても上手で大変勉強になりました。(生徒が「重心」という言葉をきちんと理解していないことにすぐに気づきました。ぼくは気づいていなかった…)

「エアロビで肩甲骨を大きく動かすことを意識しても、実際動くと理想の走りに繋げられない。」という生徒の悩みに対して「理想の走りってどんな走り?」という問いかけをしてるのを、ぼくが横で聴きながらドキッとしてしまいました💦

西園さんには、動きのベクトルとか、生徒の心の動きとかが実際に見えてるとしか思えない不思議な力を感じました。大げさじゃなくて、なんかのスタンド能力かと思いました(笑)

浜上先輩、すごい方を紹介して頂いて本当にありがとうございました😊
また、今回のために陸上競技に関して事前に勉強したり色々と時間をかけて準備して頂いたこと、本当にありがたかったです。本気さが伝わってきました!冬季練習前にぜひまたよろしくお願いします。

 

この感激の様子・・・(*'ω'*)お役に立てて良かった!でも私は超能力者ではないです(笑)

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帝京の浜上監督の体育科教育(主に教員志望の学生が集まり、より良い授業の構築や手法について学ぶ)研究室の後輩にあたる益子コーチは浜上監督のFB投稿から私に興味を持ってくださいました。

面識のなかった益子コーチとは同大学とはいえSNSを通じてのことでしたので事前にお会いしてミーティングを行い、私の視点や指導内容についてご確認いただきました。

 

陸上競技者への指導はもちろん初めてです。

プロの走りの動画を見たりなどしてイメージをつくって指導に臨みました。

久喜高校は100年の歴史のある女子校。とても立派な陸上部競技場がありました。

生徒たちの身体を見ないことには彼らに必要なことは分からないため、まずはいつものウォーミングアップを見せてもらいました。

 

久喜高校陸上部で長年受け継がれているというエアロビクスを始めた彼女たち…

開始1分で止めました(笑)

「それってなにを意識してやってるの??」

…首をかしげる彼女たち。

受け継がれていると聞いただけで、このエアロビクスは"このルーティーンを行うだけで陸上競技に必要なウォーミングアップが可能になる"、"必要最低限のエッセンスを凝縮"させて、"誰でも簡単に取り組める"ように構築されているはずだと思いました。

「エアロビクスのこの動きはこれを意識してやった方がいい、きっとこういうことを目的としているはず」と、全てとはいきませんでしたが、解説・解釈を提案していきました。

 

走る動きにとって大切なことの一つに足裏のバネがあります。

彼女たちはそのバネが分かってなかったのでまずはそこから伝えました。

 

↑ 指を開くことを解説中。

「土踏まずのところのアーチがバネになるところ。親指-小指-かかとの3点でつくる三角形をまずとらえて。それを感じるためにはまず足指を開いて。ここ(母趾球)もっと押して!この土踏まずがこう!5本の指、こう!」

↑ 靴を脱いでもらってその3点を感じてもらっているところ。

「もっと足の指を開いて!ビャッと開いて!」

・・・手もパーになっちゃいますよね(笑)

 

足裏バネが分からないと床反力を得にくくなります。足首がゆるい子も指が動かないor弱いことが原因であることが多いので、足指は重要。足指、バネが使えて地面をとらえたとき、初めてその感覚が体幹・コアへと繋がっていきます。

 

「エアロビクス中に出てくるバウンドはその意識だよ。いつもそうしてね。」

「こんなにきついんだ・・・!」とエアロビクスが身体を使う・身体に効く感覚を初めて理解できた様子でした。

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エアロビクス中盤、上半身の動きのときには肩甲骨の動かし方を解説。

肩から動かすのではなく、肩甲骨から動かすこと。肩甲骨のつき方は人それぞれ違うので、一人一人に指導しました。

「あなたの肩甲骨からすると腕の位置はここ。そして、ここ(肩甲下筋)使って。…それは違うところ(三角筋、僧帽筋)使ってるからそうじゃなくてこう。ここ(前鋸筋)はこう。わかる??」

「腕の位置って意外と前なんだ…!」と生徒たちの誤解を解いていきました。姿勢もフォームも間違ったままではどんなに良いエクササイズでも効果が出ません。むしろ悪化させてしまうことがあります。

この肩甲骨の指導をしているとき、「あなた良い!ナイス!」と私が評価した子にみんなが群がりました。「あ、ホントだ!肩甲骨めっちゃ動いてる!軽い感じ」…なにが良い動きなのか、どんな感覚が大事なのか、部員同士で言い合ったり自分の身体への集中力を高めていく様子や人の身体の見方が深まっていく様子が伺えました。

 

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後半は80〜90%のラン。

一人ずつ走ってもらい、フォームを分析。

「みんなもっと転がるように走れないかなぁ…あの子は骨盤があともうちょい前傾…あの子は骨盤の位置を前に…骨盤前が張ってるのか」

そしてやってもらったのはブリッジ。

ブリッジした彼女たちに伸びて欲しいところが伸びるように腰に手をまわし下から押し上げるサポート。

腰の使い方やスタートに生きるであろうと、前方に身体を倒すことをやってみました。骨盤の三角形(上前腸骨棘・恥骨)を押し出して身体に軸を通し、重心を前にして倒れ、地面に手をつく練習。この感覚をつけたらだんだん勝手に足が前に出るようになるはずなんですよね。

怖くてできない子には「私に倒れてきて。大丈夫、絶対落とさないから。」と。無意識に腰が引けちゃう子には「あなたの身体はこうなっているから、こういうイメージね。こう!」と。

 

そのあとダッシュをしてみたところ、彼女たちの走りに変化が出始めました。

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場所を移し、ハンマー投げの選手にもフォーム指導。

*ステップがうまくできない

→ゆっくり動いてもらい、意識できていない局面と身体の部位を見つける。

*どうしても肩が上がってしまう

→「肩が上がる」局面はいつなのかが分かれば、その原因をそこから分析する。

*ハンマーと自分の身体との繋げ方がわからない

→上半身の姿勢:肩は"下げる"のではなく"落ちている"ことを伝え、腹筋の締め方を変えて腰の入り方を変え、その腰を据える膝の抜きや腰をまわしていく足指と重心の位置や感覚。

彼女の身体の感覚+動きの原理⇒彼女の理想のフォームを探していきました。

途中、「西園さん、それって円盤投げに近い原理です。ハンマー投げはもっとこういう感じなんですよ。」と益子コーチにハンマー投げの原理の補足も説明してもらいつつ。(こういうことがたまに起こるのでやはり専門家が隣にいてもらうのは絶対必要なんですよね~!)

*動きの感覚がつかめない

「どんなイメージで投げてるの?効果音で表して!」と要求。

生徒「え〜と、、ひゅーんひゅーん…びよーん…」

「あ、ここ"ひゅーん"なんだね(笑)なるほど、でもここ"びよーん"じゃだめだな、多分。力抜けちゃうわ。んーーーびゃっ!ってこれどう?(笑)」

生徒「笑。(とりあえずやってみる)・・・あぁ(なるほど)。」

 

私も実際にハンマーを回してみたり(投げるまでは怖くてできなかった・・・笑)、彼女のフォームをなぞってどんな感覚でやっているかを把握し、彼女の意識が抜ける部分を指摘し、なぜ抜けるのかを解説し、必要な要素(強化すること)を伝えました。

 

「次、ラストね。」「すいません、もう一回投げさせてください」・・・これ4回くらいありました笑

いいねいいね、楽しくなってきたね!

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最後は質問コーナー。

 

生徒「どうしても上半身がブレちゃうんですけど、どうしたら良いですか?」

私「自分ではなんでだと思う??」

生徒「えっと、、重心が◯◯◯で、、」

私「重心ってなにか分かる??」

生徒「こういう(身体に直線を描いてみせた)…え?重心?…えーと」

私「それはセンター軸ね笑。重心ってのは、ここ(丹田)。」

(身体のセンター軸を重心と表現していた彼女。生徒が言葉を理解できていなかったことが判明。これはこれまでコーチのアドバイスが通じてなかったことがあるもしれないですね。新たな大きな発見でした。)

言葉にするってすごく大事。意外な盲点が見つかることもある。

………

生徒「エアロビで肩甲骨を大きく動かすことを意識しても、実際に 動くと理想の走りに繋げられないんですが、どうしたらいいですか?」

私「うん、分かる、難しいよね。じゃあ、あなたの理想の走りってどんな走り?

生徒「・・・(´⊙ω⊙`)・・・」

私「まずそこを見つけよう。理想の走りが具体的で明確なイメージになってるってすごく大事なの。この人の走りが良いなと思ったらその動画を何度も見て、その人と自分の姿勢や走り方は何が違うか、見つけてみたらだんだんわかってくると思うよ。」

 

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今回も盛り沢山でした。書ききれなかったことが沢山あります。復習に利用してもらえたら嬉しいです。

ハンマー投げの子が最後に「今まで自分でどうやっていけばいいか分からなくて。でも今日感覚がなんとなく分かってきたし、リズムやイメージがついたから、やれそうな気がしてきました。」と話してくれました。

すごい!嬉しい!拍手!!

自分からやろうとする、自分で試してみたくなること。そうなれば、彼女たちは自分の力で自分の能力を伸ばしていけるようになるはずです。

 

「イメージや言葉が想像しやすい人はそうして、そうじゃない人は筋肉や骨の感覚ベースで試していけばいい」

「怪我して動けないときには部員の動きが変わったことを伝えてあげてね。本人の感覚と客観的な視点が違うこともあるから擦り合わせていくと効果的だよ」

「こんな風に考えてったらもっと陸上が面白くなると思わない?!笑」

 

最後までつい熱く語ってしまいました。

でもみんなの目は真剣でした。聞いてくれてありがとう。

 

今後の大会で彼女たちがどう伸びていくかが楽しみです!!

 

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私の指導スタイルは、いつもこんな感じです。スポーツもダンスも。運動指導・動作改善、楽しい!!!

新たな視点を持つこと、ちょっと変わったアプローチを行うこと、解釈の提案、、、これって私なりのアート活動かもなぁと思いました。

ダンスの経験がスポーツ指導に生きている・・・もっと腕を伸ばしていきます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。