最近Twitterで質問箱というものを設置しました。
匿名で質問を送ることができるというもの。
このような質問を頂きました。
お答えします。
≪大学院に進学するまでに学んでおくべきこと≫
大学院に進むことが決まっているのであれば、
1.自分の研究したいことはどの分野のどんな手法を用いた何の研究なのかを明確にし、そのために必要な知識を得る
2.英語の勉強
は必須かなと思います。
私の場合、
『スポーツバイオメカニクス(運動力学)研究室で、
三次元動作分析装置を使って、
バレエの〇〇〇(動き・技)における熟練者の未熟練者の違いを研究する』
でした。
この場合で言うと、
物理学や解剖学、
三次元動作分析装置でどんなことができるのか、何を調べることができるのか、どんなデータの形として出てくるのか、
そしてバレエの基礎と名称と歴史を学び、その分野とジャンルの先行研究は古いものから新しいものまでどんな研究がなされているのかを知っておくこと。
抽象的で曖昧な言葉を使用せず理論的で具体的に説明する文章力が要りますので、沢山の論文を読んで慣れておくと良いと思います。大学院ではより詳細な知識と正確な言葉を使う必要が出てきますので、自分の分野に必ず必要な知識はしっかりと勉強すべきかと思います。
また論文を書く際には、英語の論文が読めて、書けるようになる必要があります。大学生のうちはそこまで求められませんが、大学院では必ず必要です。受験の際にも英語の試験がありますし。国際学会などへ参加する可能性もありますから、英語の勉強はやり過ぎて困ることはないと思います。
自分のやりたいことが明確であれば必要なことがなんなのかは自ずと見えてくると思いますが、
「まだ入ってみてからかな…」と思っている場合、
関係しそうなことはなんでも興味をもって手をつっこんでみて勉強してみることかなと思います。
大学で研究室に分かれたり大学院へ進むにつれて、専門性が増し知識は深まりますがそれと同時に視野が狭くなってしまいがちです。なので大学のうちは体育なら体育での裾野も拡げておくようにしておいた方がいいのではと思います。そこで培った総合的知識は大学院で論文を書く際にもより広い見地から物事を述べられる力になるはずです。教育学、スポーツ心理学、運動生理学、経営学、スポーツマネジメント、コーチング論、運動方法論など。私はすべてが面白かった記憶があります。
これは私の個人的な考えになってしまいますが、大学院にいたとき、同じ体育なのに「研究室外・専門外の人には興味がない」という人が多く、それってなんだかもったいないんじゃないかなという気がしていました。(なので私は大学院当時、大学から持ち上がり組と外から院に来る人達が仲良くなれる機会をと思って親睦会を企画・宣伝・募集し、100人前後を集めた飲み会の幹事を2年やりました)
大学4年間は 自由で時間がたくさんあるようであっという間ですので、よくばっていろんなことを学ぶとその後の進路はよりよいものになると思います。選択肢を自分で狭めてしまわず、広げることも一つの道です。
≪私の卒業後の経歴≫
・・・これはあまり参考にならないと思いますが・・・(笑)
大学院に進むまでは研究が楽しくて仕方がなかったのですが、いざ大学院に入るとその難しさ、研究生活の孤独、将来への不安で辛いことばかりでした。ずっと悩んでいたような気がします。それは周りの人間も皆一様にそうだったので、それは当然のプロセスなのだと思います。
私は修士号をとって卒業しました。スポーツバイオメカニクスという分野の研究の難しさと限界を知り、このまま研究室にこもって研究をつづける事は自分には無理だと判断したからです。知能レベル、興味関心度、英語能力諸々においてです。
私がスポーツバイオメカニクスという分野で数少ない女性研究者、しかも研究の進んでいない舞踊を扱っていたため当時担当教官からは期待されていましたが、期待を裏切るようなかたちになってしまって申し訳ない気持ちのまま卒業しました。
進路の選択肢は、
1。体育の先生
2.バイト先のバレエ教室で先生(インストラクター)
3.博士号取得し大学の教員
でした。私が選んだのは2。「いやになっても逃げずに続けられるのはなにか」と自分に問うてみたとき2だったのでその道を選びました。友人からも親からも「絶対考え直した方がいいって!もったいない!」と止められましたが、消去法で2。その時母親から「なんでそんなに踊るの?あなたが踊る理由はなんなの?」と問われ「え・・・それって私には『あなたはどうして生きてるの?』っていうのと同じ意味なんだけど(怒)」って研究室の天井を仰ぎながら話したことは今でも鮮明に覚えています。(母親は昔からの私の性格をよく知っているので、人とコミュニケーションをとれない性格だから研究室でマイペースな生き方がよくないか?と思っていたのである)
その後はただただ運の流れに身を任せていただけです(ざっくりすぎ?笑)
バレエの先生として働いているうちにひょんなことからそれまで全く縁のなかった現代舞踊の世界にダンサーとして出演のお誘いを受け、友人ができ、振付家に認められ新国立劇場や東京芸術劇場などで踊らせていただき、卒業後の6年の間に 趣味で身体の勉強(古武術、ヨガ、ピラティス、コンタクトインプロヴィゼーション、ボディーワーク、フェルデンクライスメソッド、ジャズ、ストリートダンス、モダンダンス、よさこいソーラン、メンタルマネジメントトレーニング、様々な身体理論etc.)は行っており、 指導力は年々増し、「もっとうまくなるにはどうしたらいい?」と思い切って日本を飛び出しドイツ留学、でも骨折、そのときにさらに身体の勉強を重ねて独学でリハビリとトレーニングを勉強、帰国後はなぜかモーションキャプチャで初音ミクになったりプロのお仕事が増え、すると大学同期が帝京大学で水泳の監督をしていたから指導に誘われ、魔女と呼ばれ、、、
今に至ります。
ブログは大学生の頃から「もっとダンサーが世の中で認知されてほしい、みんなダンサーの生態を知らなすぎるし、理解してほしいし、ダンスの素晴らしさはきっと世の中を幸せにする」と信じてずっと書いていました。(2011年以前のものは、諸事情あって消去。結構良いこと書いてたんですけどね。もったいなかったな。)
ダンサーとして今こんなに踊っていることは大学生の当時誰も予想していなかったはず。むしろ自分が一番驚いています。踊るよりも勉強派だったので。
ただ人一倍身体への探求心はありました。常に身体を感じ、新たな身体機能開発を研究し楽しみ、成長を楽しんでいました。
しかしプライベート、仕事、社会性がずっと調子よくまわり生きていたわけでは全くなく、それまでバラバラだった知識と経験が今この歳になってはじめてひとつに繋がった、と思っています。当時誰もが「あの子大丈夫?」と思っていたに違いありません。事実、常に心配されていました。でも私にはこういう生活以外の生き方(いわゆる一般的な、普通の生き方)は苦痛であり、「こうでしか生きれない」という道を歩んできて、本当にたまたま運よくこうなったとした思えません。
そんな私がなにか言えるとしたら、
継続は力なり
ということでしょうか。
誰かに認めてもらわなくてもやってきたこと、続けてきたことが、今になって認められ、仕事になっています。コツコツと積み上げてきた努力は必ずどこかで誰かが見つけてくれるんだなと思います。
一つの生き方として質問者さんの参考になれば幸いです。
----------追記----------
後日、質問者さんからお礼のメッセージをいただきました。
(質問者)さん わざわざお礼のメールをありがとうございます。そのように言っていただけて書いた甲斐がありました。 (質問者)さんのようなお悩みや相談事をしたいという方は他にもいらっしゃると思います。そういう方々のためにも、私の経験が一つの道として参考となれば嬉しいなと思います。今回こうして記事にまとめるきっかけを下さってありがとうございました。 頑張ってください。 応援しています。
突然すみません。 初めまして。昨日大学院進学の質問をした者です。 あんなに詳しく、ブログにまで載せて回答を頂けるとは思っていなかったので、本当に助かりました!ありがとうございます。 実は昨日は予備校の慰労会があり、そこで1年一緒に頑張ってきた仲間には、第一志望に合格した子、将来のビジョンを見据えプレゼンをした子、アメリカ留学を決めた子…といろんな子がいました。皆んなが次へのステップを踏み出すなか、自分は第一志望の筑波に合格出来ず、大好きな水泳やスポーツに関わる職に就くことは難しくなるんじゃないか、と、すごく将来に不安を感じました。 そんな心中で質問をし、西園さんの御回答が凄く励みになったので、お礼を言いたくてDMしました。 4年間、大学生活頑張りたいと思います! 西園さんの御活躍も期待してます!本当にありがとうございました!