身体を変える中で調子が悪くなったこと、不安になったこと・・・

あります。

めちゃめちゃあります(笑)

「そういえばこういうことに関してブログに書いたことがなかったな、、」と思い記事にまとめることにしました。

この質問者さんがどのくらいのレベルの人なのか分からないのでちょっと書くのに苦労しました。毎日身体と向き合っているプロ・アマチュア以上の人と、趣味としてやっている一般的な人だと身体を作り変える、その内容と種類と問題は大きく異なるからです。

でも私の経験に即して書いてみることにします。

私はおそらく人より自分の身体の声には敏感だと思います。それは義務感からくる行為ではなく、そうしてしまう・そうせざるをえない性格&体質といっていいかなと思います。

そういう人間として生きてきた私が思うのは、人間の身体の状態は一定ではないということ。

その時間その日その時期その年齢、同じ瞬間はない。

それが基本の軸としてまず思っておいてください。

   

≪身体をつくり変えていくこと≫

感覚って繊細ですよね。

良い状態があって、そこからもっと良い状態を目指そうと思ったのに、パフォーマンスが下がってしまったら、可能性を求めて新しいことに取り組んだのに、この挑戦は間違っていたのでは、と。

なにかを取り入れたり変えてみたりしたとき、その瞬間は大きな変化が起こってその事実に期待はするものの、続けるうちにうまくいかなくなってくる。

こういうことはよくあります。こうした一時的な不調は誰にでも訪れます。特に取り組んでいることが筋力増強というものではなく身体操作はコントロール、フォーム改善だとするならば起こりやすい事象です。それは仕方のないことだと思ってほしいです。

    

≪身体をつくり変えて失敗した経験≫


以前出来ていたことが出来なくなってしまう・・・

何度も経験しています。

■身体イメージを変える→足が上がらなくなる、重たくなる

■重心の高さを変える→作品によって、また表現するものによって変えていたが、自分のベストな位置を見失ってしまう

■筋肉が増える→美しく動けなくなる、これまでできていた質感が出せなくなる

■痩せる→エネルギッシュに動けなくなる、存在感やオーラが小さくなる

■部分的に発達させてしまう→1つの技においてはいいけれど、違う技をやろうとしたときに感覚が狂ってしまう

などなど。

スランプに陥る、そのスパンも数日のことも数か月のことも1年以上のこともありました。

    

≪身体を作り変えることの難しさ≫

繊細で変わりやすく、つかんだと思ってもすぐに消えてしまうのが感覚。

だからこそトップアスリートもプロダンサーも毎日やるのです。

一日休めば自分に分かり、

二日休めば周囲に分かり、

三日休めば観客に分かる

「バレリーナの情熱」(森下洋子)

というのは有名な言葉です。

身体を作り変えるときに必要になってくるのは

1. なにをもって良しとするかという指標

2. 自分を信じる力

ではないかなと思います。

1.「 なにをもって良しとするかという指標 」

その指標を持たずに取り組むと一喜一憂するだけで“積み上げ”になっていかないばかりか、迷走への道を深く深く突き進んでしまう可能性が出てきてしまいます。

例えばこういうパターンは上手くいかない人が多い印象:

・「健康に痩せたい!」といいながら最善の策を試みず、手軽で楽な方法に取り掛かり、太ってしまった原因を見直さず、苦しみは味わおうとしない。

・「結果を出したい!」と言いながら他人からのアドバイスには耳を貸さず自己評価の自己満足に終始してしまう。

・「分からないので教えてください!」と指導者にアドバイスを求めていながら、「それって本当に結果につながるんですか?」と実際に行動に移す前に疑ってかかる。

指標は自分の感覚や意志なのか、指導者の目なのか、結果なのか。

実際問題、これらはすべて必要であり、どれも相互作用を起こしながらパフォーマンスを向上させていくのがベストです。

しかし不安になってしまう人はこれらをごちゃごちゃにしてしまう、あるいはその時その時で(自分が苦しまないように)都合よく考えたい方向に無意識にシフトチェンジしてしまうことが多いように感じます。

指標を決め、まずは一定期間やり続けることにし、期間を決めた中で結果が出なければやり方を変える、ということをまずしてみてはいかがでしょうか。

自分の感覚だけでは不安になるのは当然です。誰もがそうだと思います。

ダンサー(私)は鏡の前でいつも自分の身体を見て、修正し、感覚的にも客観的にも自分と向き合おうと心掛けています。

自分の中では中学時代の自分が人生の中で最も調子が良かった時代ですが、体つきもメンタルも環境も求められることも今は違うのでそこへ戻るつもりも戻れるとも思っていないですが、信念と理論は戻っていもいいかなと思っています。

客観的評価というのは例えば背骨のラインや角度、脚のラインや筋肉の表情、足指の曲がり具合や伸び具合は見て確かめ、それを達成しているときに起こる全身の感覚が良い時悪い時、日によってありつつも最低ラインは持っておくようにし、なにかを変えたときにもその最低ラインよりも下へは行かないようにしています。

2.自分を信じる力

質問者さんが、どういう頻度でどういう環境でやっている人なのか、変え始めてどのくらい経った人なのかでアドバイスは真逆になります。

変え始めて一週間です、、、なら「一時的不調和だから、そのままやるべし!と言うだろうし

変え始めて半年~1年です、、、なら「それはなにか方法ややり方を変えたほうがいいね!」と言うかなと思います。でもわからないので置いといて(笑)、

もし一人で取り組んでおられる場合には、自分の感覚、自分の評価をよくよく検証、考察し、信じ、失敗し、答えを見るける力を身につけることではないかと思います。

私だって、「間違ってなかった―良かったー」「うわ、間違ってた、やり直しやり直し!」「これだ、この方向だ、絶対これでいける、多分、、、!」・・・いつも不安と隣り合わせです。

(でももしかすると私が質問者さんと違うのは、遠回りをすることが苦ではなかったという性格があるかもしれません。効率よく物事を遂行することがとことん苦手ですが、その分遠回りをすることを楽しんでしまう性格なんですよね。)

今私は様々な試行錯誤の末、バラバラだった知識と経験が繋がり、「点と点が繋がって線になって線と線が繋がって円になってぐるぐる回り始める」という良いサイクルに入ってしまっているため、迷走して苦しいときの状況をリアル感覚で思い出せないでいますが(笑)、迷走しているときはつらかったですよ。

30を超えて、周りも引退したり結婚しり子供が出来たりしている中で、弱音はいたら「じゃあやめれば?」と言われるのがオチだし 誰にも相談せず(できず)、 それでもどんなに頑張っても成長しそうな兆しが見えないというときはありました。

そういうときに私がやったことを思い返してみると

1.無理にやらない

2.よく寝る

3.練習の方法、量・質・頻度・イメージを見直す

4.紙に書き出し頭を整理する(なぜできないか、そもそも問題はなにか、それを取り組む意義はなんなのか)

5.人に助けを求める

です。

順番は私の使用頻度の高い順であり、1でダメなら2、2でダメなら3、という感じ。

質問者さんのように

「身体づくり、なんとなく違う感じ、、失敗したみたいだから、前の身体に戻そう・・・」

と思ったこともあります。

でも無理でした。戻るなんてのは。

もう様々な変化は常に起こっているからです。戻そうとするとむしろ逆効果になることもあります。なので、腹をくくって、

そのまま前進し、歩みを止めないことをお勧めします。

身体を変え、感覚が変わると、今まで認識したことがなかった場所や意識していなかったことまでが無意識無自覚によくなる場合があります。ですがその後続けていると、自分でやってみるとなんだかきつい、いつもより疲れる、という感じが起こることがありますが、それが本来身につけるべきその人に必要な筋肉だけどこれまで使っていなかった/弱かったからキツイと感じることがあります(見ていないのでなんともいえませんが・・・)。そして不安な気持ちからやめてしまう・身になる前にやめてしまう、、結果何も変わらない、、ということが起こっている場合もあるのではないかなと思います。

また、新しいものを試して身体を変えたときに起こる【特別な感動】や【劇的な変化】は毎回起こったり、何度も経験できるようなものではないと思っておいた方がいいでしょう。それを毎回起こさせるには、相当の新しいものや衝撃的な出来事を自分に用意する必要があると思います。

    

≪自分で自分を評価すること≫

私はなにかに取り組むときや新しいものを取り組むときには「これは自分にとって良い変化をもたらすに決まっている」と思って取り組みます。

でも慎重にはなります。やり方を変えるときは不安も伴います。

でも試すことや変化することが当たり前となり、その時その時でベストを出せるようにする、その“引き出し”がたくさんある状態まで蓄積ができた今は、以前のような「何が何でもあの時の良い状態にもっていく!」のような固執するような考え方ではなくなりました。

それに不安という感情の中にずっといる、不安でいる状態が当たり前という、「不安定の中の安定」って分かるでしょうか。「不安」という海の中にポツンといて、常に漂っている(不安定な状態)けれど、そこに自分がいることが自覚していて、進むべき方向へ向いている、近づいている、遠のいていることは理解している(目標物は見据えている)みたいな。

「この取り組みは本当に“美”へと繋がっているのか?」

「自分の自己満で終わっていないか?」

「何をもって成長、進化と呼べるのか?自分の中の定義は明確か?」

は常に自問自答しています。


その試行錯誤を経て今に至ります。 なのでそのプロセスはとても大事にしてほしいと個人的には思います。

その不安な状況からいかにして脱することができるかにかかっている気がします。

逃げることもできますよね。やめたり、諦めたり。指導者にもう一度聞きにいく、違う指導者の元へ行き違う答えを与えてもらうetc.

でも自分でなんとかしたい、成長したい、と思っていらっしゃる方なのだと思います。
もしかすると質問者さんは数値や勝敗などでパフォーマンスの良し悪しの結果が自分にも自分以外にも露になってします競技であるかもしれないので、その場合には私よりもその結果にメンタルが傷ついてしまうことが多いかもしれませんね。

私は初めから自分の感覚や答えを信じることが出来る人間ではありませんでした。

今でもまだできません。どういうことかというと、今でも私は「私の踊り、、どうでした?」と人に聞いてしまうからです。

数々の舞踊家、指導者の先生から幾度となく

「もう人に聞くな、意見を求めるな、自分を信じろ、何を言われても自分はこうだ!と言うものを持て」

と言われてきました。踊りとは、舞踊の世界とは、お客様に見ていただく・見せる世界であり美しいもの美しい時間を提供するものですが、自分が思う「美」とはこれです!という、「自分の答えをもつ、導き出す」、そういう部分も必要です。だから鍛えられてきたかなと思います。とっても時間がかかりましたけど。

だから不安になったとき、自分の意志や評価、答えを出すときに必要なこと・・・人によっては大きな勇気がいると思います。でもそうやって自分自身で意思決定していくことは、精神面も強くしてくれるし、その後の競技人生も、物事の見え方も変わっていく気がします。なので、小さくてもいいので、勇気をもってください。

質問者さんがなんの競技で、どれくらいの競技レベルで、どの程度の情報を得ていて、どんな頻度のどんな強度で練習していて、身体を作り変えることを始めて何日/何か月/何年なのかがわからないので的外れになっていないことを祈ります。

がんばってください。

自分を信じて前に前に。

応援しています。