8月10日に行った第三回の報告記事となります。

本日、指導していた帝京大学水泳部の選手が結果を出しました。浜上監督からの報告です。

 

【日本選手権標準記録突破】

本日、相模原市水泳公認記録会(長水路)に2年生男子1名がクラブチームから出場させていただき、見事50Flyで日本選手権標準記録を突破しました。

・50Fly:24-62(Best-0.88)

この1年で目に見えてスピードが出るようになってきていたので、JAPAN OPENくらいは届くかなと思っていたのですが、予想を上回る飛び級を見せてくれました。

ついに帝京大学水泳部からも日本選手権突破者が出ました。
JAPAN OPEN突破者も2名(+平野コーチ笑)となりました。

 

帝京大学水泳部、躍進が半端ないんです。

監督の取り組みによる革命は数年前から始まっており、その成果がたまたま私が指導に行きだしたタイミングで起こっているに過ぎないかもしれません。ですが見ている選手が結果を出しているのは本当に嬉しいこと。おめでとうございます!

 

※水泳部への指導についての過去記事

→ 第一回(5/29)第二回(6/16)

 

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第三回目のこの日は大きな大会に向かって励む選手をメインに見ることにしました。

メニューはウエイトトレーニングからのスイム練、結構追い込んでいる時期でした。

 

何を意識して行うか

何を目的として行うか

何をイメージした動きなのか

 

それが明確であれば、行っているトレーニングの効果はまったく違ってきます。

写真の彼には、もっとコアを意識させて、そこから腕に繋がる感覚を確かめつつアドバイスしています。私が彼の足を踏んでいるのは、彼は足がぷかぷか浮いて無意識状態だったので"全身"を繋げる気づきを与えるためです。

コアを感じ取るってすごく難しい。骨盤の傾斜もその人の癖もいろいろあるから外側から見て「これが正解」という角度や姿勢は人それぞれ違います。

写真は「(指を置いて)ここを意識してみて」と伝えていて、それだけでは彼は分かりませんでした。そこで私が彼の仙骨の下に手を置き、彼が私の手を潰すようにするということをしてもらいました。うまく骨盤を使えたときの感覚を覚えてもらい、その意識を保ってウエイトはするようにと伝えました。その意識で行った後はすると重さの感じ方が変わったようでした。

 

 

また別の選手に移り、チューブトレーニングをしている選手にアドバイス。

私は「何を意識してやってる?」「実際に泳ぐときにどんなシーンで役立つの?」とあれこれ質問。実際はこれだろうな、と想像できることはありますが、もしかしたら私が想像すること以外/以上のことがあったりするかもしれないから聞くようにしています。素直に知りたい気持ちがあるし、私は水泳の素人なので。言葉で説明させる、口に出させることは選手自身にも大切だと思っています。

チューブトレーニングを行う選手の身体の認識が理解できたところでフォームを変える指導をしました。「手」ではなく「薬指、小指」、「脇を締める」も「肘はこう、ココを通る、肩甲骨がこうなるように、ここまで使う」と説明。また、この時は引くばかりではなく"戻す動作"も加えました。超スローで。同じトレーニングも、ちょっとやり方を変えるだけで工夫できます。「これめちゃめちゃしんどいっす!」→いいとこ効いてる証拠。繋がりの弱かったところは始めは苦しいけれど、慣れてくれば楽になっていきます。

 

 

日本選手権の標準記録突破は彼。

彼は上半身の使い方は良かったものの、それに骨盤股関節がうまく連動できたら良いなと思ってその感覚をどうしたら伝えられるかなと思ってこんなことをしました。

写真は、出来てない(笑)「違う違う、そうじゃなくって!」と叫んでいるところ。

'腹筋をしめる''お腹を引き上げる''骨盤を下げて''太ももは力抜いて'…どんな言葉も、人によって受け取り方は違うため、その選手の身体の反応を読み取りながら身体の部位であったり、'吸い上げる感じ'というイメージであったり、'私を見て真似して'と見させたり、いろんな手法を試みました。

 

彼のいい報告を受け、私の筆も力が入ります。

今日報告をしてくれた浜上監督に、この指導の後はどんな様子だったのかを聞いたところ、「とにかくまっすぐのストリームラインをベースにフォームを整えることをやり続けたよ。背中を引っ張り上げて腕を目一杯伸ばすことも意識した。」とのことでした。

 

やっぱりストリームラインなのだと思います。背骨のしなやかさ。

 

水泳においてストリームラインが基礎中の基礎だということが分かってきましたが、ひとつのイメージとして、推進方向へは頭のてっぺんで水を押していく感じなのだから、伸びる/押す感覚を養うことにも三点倒立はめちゃめちゃオススメしたいです。

練習をする場合は、まずは壁の近くで行い、背中側に倒れたとき足で支えたりして、慣れてきたら少しずつ壁から離れていけばできるようになっていきます。補助の人がついていた方が良いです。

 

ウエイトの後はスイム指導。

スイムフォームの指導におけるこの日の私のメモ:

・柔軟性が高く、身体のまとまりの良い選手へは身体の"部分"の言葉よりイメージで指導

・ストリームラインは両腕と頭を押し合うと背中が伸びる

・平泳ぎはリズム感。(上半身→下半身、という意識だった選手に「トトトーンって感じ」と伝えたら動きが良くなった)

・ドルフィンは骨盤で打った(後傾にする)直後のタイミングに背中の引き上げがある(後傾直後に腰で引こうとしない。腰が引けた形になり沈む)

・ドルフィンは動かすのは骨盤だけじゃない。お腹の使い方と膝関節股関節。腰引いちゃいけない。前後運動じゃなくて「進行方向に進む」ためのムチ動作であること。

 

下腹・骨盤・ストリームライン

目に見えないものを掴む。指導者やコーチはその言語をたくさん持っているほどより様々なアプローチを伝えられると思います。私は大学でのバイオメカニクス研究室での勉強も生きているし、ダンスという「求められる動きや質、目的がその都度異なる表現の世界」にいることで違った視点や方法を示せているのかなと思います。

ですが、私のような専門分野の異なる人間を起用するところに浜上監督が起こす革命の理由があると思います。

情報へのアンテナの高さや柔軟性、人脈、選手たちにとって有益なものならなんでも取り入れてみるという好奇心。選手本人の努力も当然あります。ただポテンシャルの高い選手を生かすも殺すも指導者次第。人間力も大事だなぁと彼を見ながら思います。

 

 

 

この日の浜上監督の報告を転載します。

 

インカレに向けて再始動して2日目。

今日また西園美彌さんを招き、「姿勢・動きづくりクリニック第3弾」を実施してもらいました。

彼女の凄さは過去2回のレポで書いた通りですが、とにかく「動きの改善」に対する能力がオールマイティー過ぎてこちとら全く手も足も出ません。僕がコーチとして長期目標に据える「感覚へのアプローチ」も難なく平気でこなします。というかたぶん彼女にとって、それは特別な指導スキルでもなんでもなくて、動きの改善をねらう指導者として当たり前のものとして捉えてるんだと思います。

今日もBrのコンビネーションのズレに違和感をもつ選手、Ba, Frが縮こまった泳ぎになっている選手に対して、感覚に落とし込むワンアドバイスと簡単なエクササイズを提供し、一瞬にして矯正していました。

とまぁこんな状態だったので、今日僕はチームのヘッドコーチらしく、彼女が部員たちに指導する横でうんうん頷きながら勉強してました笑
見本のクオリティーも動画、写真の通り。レベルが高すぎて説得力がありすぎる笑

さて、インカレの個人種目に出場する4人はいずれも関カレで自己ベストを更新しました(※1人は専門外の種目)が、昨年の反省を踏まえ、守りに入らず変化させ続ける意識で挑もうという話をしました。

インカレまで間もないこのタイミングで彼女を呼んだ僕の意図や想いも確実に伝わったようで、写真のような一風変わったエクササイズも100%効果を信じて真剣に取り組んでいました。何より過去2回のクリニックの効果を各々が実感したからなんでしょうけど。

そして、先日の関カレをきっかけに、外部からの帝京大学水泳部への注目度が一気に高まったのを選手たちも感じるようで、ここ2日間なんとも言えない充実した表情をしています。
おそらくこれまでの競技人生において、身内以外の人たちからこんなにも注目される経験なんてほとんどしてこなかった子たちでしょうから、ここでもう1発成功体験を植え付けて次のステージにつなげてあげたいなと思います。

 

浜上監督のFBページ、実際に私が動いている様子がありますので参考にどうぞ。

①Gボールを使ったエクササイズと②体幹トレーニングで片手を浮かせる動作の動画はもしかしたら参考になる人がいるかもなので見てみてください。

①この動作、下腹がメインだけれど足の甲も意識しています。なので選手には靴は脱いでやるように伝えました。肩甲骨もスイッチ入れています。首の後ろは縮めないです。関節は常にすべらせるように使います。

②の動きができるようになったら①もやりやすくなると思います。体幹を固める感覚は少しあるけど、位置を変えないように見せてる‛ムーブメント’。手の母指球で床をとらえると肩と脇下に繋がります。手を床から離すときは脇をしめて引く感じ。これも首を縮めない。腰が揺れる人は足の親指で床を踏みしめること。すると下肢と骨盤が繋がるのが分かると思います。肩の屈曲伸展しか動かない人形になったイメージを持つと良いかもしれません。

 

難なくやっているように見えますが、目的をはっきりさせていることと、身体の繋がりや使い方の理論があります。私の強みは身体の繋がりにおける感覚を言葉にできたり、相手の身体の状態や細かい変化を発見できることかなと思います。

 

 

3回目ということもあり、選手たちの吸収力が上がってきている気がしています。私の指導が生きるのは、選手が本気で上手くなろうとしていること、私を信頼して取り入れようとしてくれている時だけだろうと思います。選手に感謝。

選手たち自身がそれぞれにピンと来たものだけでも、感じたものを身体にどんどん落とし込んでいってほしいと思います。

 

正直この日見てあげられなかった他の選手たちには申し訳なかったなという気持ちがあります。また次回。質問や疑問、遠慮なく私までくださいね。

 

インカレまであとすこし。

最高の夏にしよう。

 

引き続き応援しています!!